君が代から見るアイデンティティ
Namiko Sakamoto

– National Anthem & Me –

秋深し、選挙にちなんで一つ海外在住者の悩みを打ち明けてみると・・・

国歌を居酒屋で歌うことはあまりないでしょう。

「君が代」は、日常生活でハミングするにも音階的に難しいように感じます。

チェコだけではありませんが、外国の友人宅を尋ねている時などに「日本の国歌って確か独特だったよね、歌って!」と頼まれることはこれまでによくありました。閉店後のパブでも時々歌いました。各国の国歌お披露目ターイム!

日本=全部独特

これがついて回るのは仕方がない。

また、実際に欧米諸国の国歌をオリンピックなどで耳にされたかと思いますが、行進曲という雰囲気のものが多いと感じています。

君が代は、日本人である私にとっても独特に聞こえます。

さて、義務教育も含め日本の学生時代に君が代を歌ったことはほとんどありませんでした。

学校では校歌をよく歌いました。運動会の際には「運動会の歌」がありました。

君が代は音楽の時間にちょろっと歌っただけで、後は学校のイベントにおいて時々BGMのように流れていた程度。

歌えば歌うほど覚えるというのは事実で、今でも幼稚園の卒園生を送る歌、小・中学校の校歌をばっちり歌うことができます。

(高校では・・・校歌の存在さえも忘れていました。)

雅楽はいいなと感じていましたし、君が代の歌自体は短く簡単なので、特に好き嫌いで考えたこともありませんでした。

とはいいつつも、歌う時には歌が背負ってきた歴史的背景も考えます。

「たられば」が正に不要なケースだと思いますが、「日本が第二次世界大戦に勝っていたら、教育現場などにおける国歌斉唱・国旗掲揚の反対派はほぼいなかっただろうか。」

海外の長期旅行や滞在経験のある方であれば、なんらかの形で「アイデンティティ」を考える機会があったのではないでしょうか。

自分のアイデンティティの他、日本人としてのアイデンティティ。

日本について褒められる、批判される、質問される、情報交換をするといったことから。

また、海外で目にする日本に関する本、雑誌、宣伝やニュース、日本の商品・製品を通して。

そして、私自身を通して「日本人てこんな感じ」という一般的なイメージを模索する人がいることを感じながら。

チェコは、ヨーロッパの中では「難民受入れ反対派」に属しています。

しかし、移民政策が厳しいかというとそんなことはありません。就労資格を得るための基準は細かい規定に基づいていますが、学歴や所得額などほぼ誰でもクリアできる仕組みです。

日本という国はあまりにも遠く「異国」と感じるため、ことあるごとに根掘り葉掘り質問を受けますが、例えば、アメリカ人やイギリス人でチェコに永住されている方々は、「チェコは楽でいい」と仰ります。

自分が何をしてきたか、なぜチェコにいるのかを聞かれることも少なく、「今ビール飲みに行く?」と他愛もない会話で人付き合いができる。

私の経験を伝えると、

「そりゃ日本は独特だから。イギリス/アメリカなんて行ったことがある人もわんさかいて、何も物珍しくないでしょ。」

海外在住がより長くなると、アイデンティティより気になることが出てきます。

選挙権です。

私はチェコで一度も日本の選挙に参加(投票)したことがありません。

言い訳ですが、忙しいのにわざわざ日本大使館に足を運んでまで投票したい方はいませんでした。

また、税金をしっかり収めている国で選挙権が欲しいという思いがいつもありました。

(日本で収入を得ていても、全世界所得に対しチェコで納税しています。)

私自身のアイデンティティは完全な日本人。

とはいえ日本のパスポート(国籍)を持っていてもメリットはゼロである。

国籍をメリットの有無で判断するのはおかしいのですが、下記のようなことからげっそりすることが多く・・・。

・ヨーロッパ国内旅行:空港でEU国民以外の列に並ばなければならず、チェックに時間がかかる。

・日本帰国:家族と帰国する場合には「日本人以外」のカウンターに一緒に並ぶので、日本人窓口を利用しない。

・外国人であれば楽々購入できるJRパス(一部の新幹線を含むJRフリーパス)も、海外在住の日本人として大使館の証明書を取得しなければならない。

・日本各地、家族は「外国人観光客割引」を利用できるが、日本のパスポートしかない私は対象外。

・コロナ禍で帰国した場合、どれだけPCR検査を受けようが、帰国後二週間は自宅隔離が待っている。

(そのため「(一時)帰国する」という権利は保障されていても、行使する気にならない。)

税金や保険料は全てチェコで納付。

どれだけビジネスを展開していても、チェコの選挙権は持たないため、チェコの政治家から見ると価値のない一人。

当然、国籍=選挙権という紐付きは日本に限ったことではありません。

※ドイツのように、国によっては永住権を持つ外国人が参加できる選挙もあります。

チェコにおける大統領選挙の際に、海外在住のチェコ人が選んだ候補者と国内のチェコ人が選んだ候補者とのギャップが一目瞭然でした。

「海外在住者の方が有識者が多い」という声も聞こえましたが、さあ、それはどうでしょう。

結果的に行き着くのが、「日本も二重国籍認めないかなぁ」という提案です。

日本の皆様、想像したことありますか?

「二重国籍」、なんだかインパクトのある言葉に聞こえませんか?

アイデンティティと国籍は繋がっていますが、それを証明するためだけに日本のパスポートを維持し、旅行・出張(頻繁にあります)毎に、また選挙毎に疲れるのがいやだな、ストレス要因除去したいんだけど・・・というツブヤキでした。

君が代は

千代に八千代に

さざれ石の

いわおとなりて

苔のむすまで

日本人の方でも、君が代の歌詞を理解されている方は少ないようです。

「あれ、岩って音なるんだっけ?w 」

チェコの国歌もきれいですね。歌っていると、豊かな自然が瞼に浮かびます。昔から川が好きでしたが、水源の豊かなチェコ、川沿いぼーっと散歩、水源を辿った山散歩なども楽しいものです。

チェコの国歌でお勧めの動画はこちらです。

「我が家いずこや?/我が故郷いずこ」(Kde domov můj?)といった風に訳されていますね。

あくまで私見ですし、現代風に訳す必要もありませんが、チェコ語はシンプルなケースが多いので・・・

「私の故郷はどこ?」を意訳し、「私の居場所はどこ?」とまで崩していいのかなぁなどと考えてしまいます。

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