女性経営者
話すこと、書くこと、伝えること。
昔から文章を書くのが大好きだったため、執筆活動に飽きることはないでしょうが・・、全ては時間との兼ね合い。
対照的な記事を2本書いてみようと思いました。女性経営者として。ワーママとして。
まずは、ビジネス脳の一本目です!
『女性経営者として成功するには?』という題名でいつか執筆しようと考えていましたが・・・たった6年で引退したため題名は使えない。
引退した理由は本ブログでも紹介しているように個人的な理由からです。
プライベートにおける失敗から、自分の人間性さえ疑う時期がありました。しかし、自分の全てを批判する必要はなく、ビジネスにおける功績も自分の中の一つ、そのまま記録として残していまいりましょう。
およそ15年間の個人自営業主としての活動にも既に暖簾(のれん)を下ろしましたが、経営者として必要だと思ったスキルはその時代に自然と身についていました。特に、経営学については興味があったので、本から学ぶと共に実践で知識を身につけていました。
大企業の経理・財務業務に携わり、会計士の方々と(あーだこーだと)議論を重ね、チェコ人マネージャーの作成した資料を日本の本社向けに見易い形に書き直し、会計監査報告書の一部のドラフト作成・・・といったことを繰り返し行っていれば、英語でもチェコ語でも理論と知識が結びついたものが成果として生まれます。税務調査対応にも関わりましたが、チェコ税務局の出す資料・・・論理的!と声に出さず苦笑いしてしまいました。価格設定や管理費など、海外子会社としてグレーであると感じている点がそのままズバッと指摘されます。
さて、マイクロ企業なので、適当にすればいいんじゃない?という声もありました。確かにそうだと思います。
決算書が読めなくても、人員管理できなくても、体系的に業務を進めなくても、セキュリティに気をつけなくても・・・なーんとなくでやっていける規模でしょう。経営者が何でもできる必要は全くありません。
しかし、できるだけスマート技術を取り入れて、色んなことを自分で試してみたいという欲がありました。
- ITインフラを整えて
- 業務管理ソフトを使って
- 決算書やVAT申告などは外注に委託しつつも常にダブルチェックを行い
- 社内規定を作成し
- 処遇にも工夫を凝らし
- 従業員の教育にも力を入れ
- 広告宣伝にも試してみる
上手くいった点も転んだ点も両方ありましたが、ありとあらゆることを小規模サイズでも試すことができて良かったです。もちろん利益を出していたので、借金を作って逃げ出したわけではありません(笑)。
従業員や外部委託にも、「他より多く払う」仕組み。私のような細かいことを気にする人間に付き合うのは大変・・・というよりも、細かいことに気を配ってくれるなら、スキルは後々身につけるとして、最初から高い給与・報酬を支払うという理屈。
チェコの官公庁での仕事は、マニュアルを作っても80%程度しかカバーすることができません。役所側のイレギュラー(不備)などもあるので、そこは「いや、こうです。」と押し切る説得力も必要。
従業員にお願いしていたことは、以下。
- 誰にでも丁寧に接すること
- いつもと違うことがないか気にかけること
- 連絡報告はマメに行うこと
ポイントは、「お願い」していたという点です。
最初、この三つは業務に必要なスキルだと考えていましたが、後程、個人差が大きいことに気づきました。
- 普段、人に丁寧に接しているのに、緊張するとものすごくぶっきらぼうになる人がいたり
- 役所やお客さんのやり取りをこ詳細まで伝えてくれる人もいれば、「あーなんだっけ、、もう忘れちゃった。」とう人もいたり
- 連絡報告はマメにくれるものの、「大丈夫、完了。」のはずが、蓋を開ければ忘れ物があったり
あーーーー、なるほど。業務スキルとしてみなすと、「なんでできないの?訓練しよう。」となるけれど、業務自体に大きな損傷はなく、「これができれば完璧なのに!」といった点は、ただのおまけなんだなと。
そこで、日本人的な細かいことも理解して業務を進めてもらえた場合には、私が(分かり易く)喜ぶ、お礼を言う、お菓子を買ってくる、ご飯を食べに行く・・・、「業務に関して」という固い話とは別口にすることにしました。
様々な書類作りや官公庁とのやりとり。
「楽しくない仕事でごめんね。」と謝るとよく笑われました。「いや、全然気にならない!」、「ちょっと外回りみたいな仕事が欲しい。」、「気分転換にお昼は外に出よう!」
その時々で、業務内容も微妙に変えられないか皆で相談。
「経営者」という文字から、何となく「かっこよくあるべき」と考えていましたが、能力的には問題がないので、お客様に対してはそのままの私で(ロボット扱いされることが多かったですが)、社内では女性という私の別の面そのまま、お母さん役でいいんだなーということも数年掛けて分りました。
私の方からは、「私もミスるから油断しないでチェックしてね!」ともお願いしていました。こなす数が多ければ多い程人的ミスは発生するもの。経験があっても見落とすときは見落とします。立場に関係なく、お互いチェックしていく姿勢は忘れない。これは、クライアントに対しても官公庁に対しても。大きなミスに至る前に見つければ、笑ってごめんで済ませます。
結果的には、私という金剛力士像(?)のようなお目付役がいなくても、従業員が仕事ができるという体制が築けていたのが自慢でした。
少し、人気の(!)就労資格・滞在資格補助について触れておきましょう。
15年前に比べ、法定要件もクリアになり、情報も英語で全て収集できる状態が確立されたと個人的には感じています。要は、内務省移民局や外務省のサイトを見ながら淡々と書類を準備していくことが可能になりました。
それでも、日系企業としては、まだまだ何をすれば良いかよく分からないという意識が強いことを伺います。チェコでの操業年数が長い企業においては、駐在員の滞在資格取得業務も内製化されています。コストの観点からも効率的です。
私自身、従業員を見ながら感じましたが、書類作成などにおいて難しい点は一つもないように思えます。更新のタイミングを忘れずに同じことを繰り返すのみ。法改正が生じた時には外部のエージェンシーや、工場であれば、地方の役所そのものに確認することが可能です。日系企業が多数進出している地域においては、官公庁の方々はとても親切です。
しかし、日系企業のチェコ人従業員の方によっては、「就労資格の申請なんて担当してもキャリアアップに繋がらないからいや」とはっきり仰る方もいました。しかし、そうでない方を見つけることも可能ですし、業務を兼務させるといった工夫も可能。
また、どの工場も一人は現地採用の日本人の方を抱えているため、その方を中心に管理させるといった方法が主流です。
書類作成は簡単でも、「どの就労資格が必要か」、「税務との関連は」、「外国人としての義務は」といった背景を理解されている方はあまり多くなく、どの法律に基づきどういったリスクがあるかについて取り上げると驚かれることが多かったです。
- 外国人のチェコ滞在に関する法律
- 雇用法
- 所得税法(租税法)
- 民法
- 会社法
- IHOL契約
- 日チェコ社会保障協定
様々な観点から包括的にスキームを設ける必要がある場合も。
Simple is Bestが私の方針、滞在資格の申請も、ドイツやオランダのように簡素化されると良いなと願うばかりです。また、外部委託よりも内製化していただくのが良いといつも感じていました。「滞在許可がいつ降りるかわからずビクビクする」気苦労だとか、役所での長蛇の列だとか、(最近は大きく減りましたが)外国人を相手にする役人の方のつっけんどんな態度だとか・・・、普段チェコ人として接しなくても良い様々な外国人の苦労を経験するチェコ人の方が増えれば、移民局の施設やシステムもより改善されるのではないかと思います。
数回だけですが、「実は、従業員に忘れられて、今滞在資格切れてるんです!」という涙の告白も伺ったことがあるので・・・社内のコミュニケーションはやはり円滑に!
会社は売却(ほぼ譲渡)しましたが、仕事やビジネス自体に興味がなくなったわけではありません。前のような立ち回りはもう無理ですが・・・。
経営者引退以降は、遠隔でノウハウを伝えていく、ストーリー(業務企画など)の作成補助ができればと考えました。華々しいビジネスイベントに現れることはないでしょうが、どうしても私が出向かなければならない懸案事項があれば出動しています。苦しい状況をどう乗り切るかといったものばかりですが・・・、苦しい場面だからこそ私の経験・ノウハウ、私という人物そのものが役に立つ時もありますね。対面でしか話ができない、伝えられないこともまだまだあるということでしょう。
さて、近年よく耳にする「働かないおじさん問題」、親会社の事情や日本の働き方についてもよく伺っていた私としては、是非購入したい!と思える一冊です。帰国はまだですが、欲しい物リストに追加。
この状況・・・チェコでも(ヨーロッパでも)同じかなと感じましたが、似たようなご経験はありませんか?
また、「おじさん」に限定されてしまうのは、日本が特に男性社会であるためだろうなとも感じましたが、いかがでしょうか?
https://toyokeizai.net/articles/-/461603
大作(長文)を最後までお読みくださいまして、どうもありがとうございます!
二本目の「ワーママ」はこちらからどうぞ!
WebWavelife with Namiko Sakamoto
Život na webu s vlnkou Namiko Sakamoto